これまで世界の工場と言われ続けた中国。
その模様が近いうちに変わるかもしれない。
そう思わせる新型コロナの影響。
しかし、昨日のニューヨークタイムズには「それは無理です!」といった記事が載っていた。
Chinese Factories Face New Threat: US Anti-Virus Controls
https://www.nytimes.com/aponline/2020/03/18/business/bc-virus-outbreak-china-factory-threat.html
「中国の工場は、合衆国の新型コロナ対策のために、新たな脅威に直面している」
という記事。
記事では、中国が武漢(中国)ウイルスこと新型コロナを封じ込めた後、工場を再開させようとしているが、アメリカの防疫作戦がそこに水を差す形になるだろうという指摘に始まり、現在の中国国内における工場稼働状況をリポートし、今後の世界情勢の行方を推測している。
稼働状況に関してとりわけ面白い状況になっているのがスマホなどのコンピューター市場のようだ。
基幹部品となるチップがアメリカ製造なので、そこから仕入れられないとなると、そもそも作れない!となる。
これはマズイわけである。
その点、ファーウェイはトランプによるチャイナフリー運動の影響もあって、アメリカ製の部品を排除してきたことから、まだもうしばらくは供給元を変えずとも何とかなるようだ。
これはなんとも皮肉な話である。
記事の後半部分では中国と決別する難しさを語っている。
そこには、アメリカという国の実情も垣間見ることができる。
アメリカは2018年から中国と関税戦争を繰り広げてきた。
それによってアメリカの会社も何とか中国からの脱却を図ろうとしてきた。
ところが、中国の条件と同程度の条件を持った国が他に見当たらないという問題に直面してきたのである。
そのため、抜けるに抜けられない状況になっている。
無論、中国からの脱却をもくろむ会社は何もアメリカの会社だけではなく、韓国のサムスンもそうである。
サムスンもまた、人件費抑制のために中国からベトナムへと工場の一部を移転させた。
しかしそのベトナムも、人口で見れば中国の工業を支える中心となっている省一つよりも少ない。
したがって、「今まさに、多くの人がすぐにでも中国を離れようとと考えている。だけどそれはとても難しいことだ。……中国は、武漢(中国)ウイルスの後でさえも、国際競走上の優位性を保ち続けるだろう」という結論になる。
要するに、そのくらい代替国を見つけるが難しいと締め括っている。
この記事の肝は、現状、そして未来においてもアメリカが中国と決別するのは難しいと言っておきながら、中国側もまたアメリカと決別するのは難しいと言っているところだろう。
つまり、どちらも経済的に必要としているのが現状なのである。
でも、本当にそうだろうか?
少なくともアメリカ国民の反応を見る限り、「くだばれ中国」「消えろ中国」という声が圧倒しているだけでなく支持も得ている。
今回のコロナでそれが凄まじく勢いを増してきている感が否めない。
中国に依存していることを快く思っていない人が極めて多いことを改めて認識させられる。
中には、中国に魂を売ったとされる企業の名前を挙げる人までいる。
また、今回のコロナを契機に、もう中国製は買わないという人まで現れた(といってもアメリカ人なので買ってしまうんだろうが)。
確かに経済的には他に代替がきかない状況なのだろうが、政治的にはNoという判断になっている。
経済的合理性をとるか、政治的合理性をとるか、どちらにふれるかで今後の関係が決まってゆくことになる。
日本もまた、2005年、2012年の反日デモで散々痛い目に合ってきた。
それでも中国に工場を維持し続けた。
そうして今回のコロナショックでまたしても痛い目にあった。
これで三度目である。
確かに経済的には、日本もまた抜けるに抜けられないといったアメリカと同じ状況にある。
でも、そろそろ過去の経験を活かす時期に入ったのではないだろうか。
関税協定の枠組みも出来上がって来たこの時期だからこそ、国産回帰しても良い頃合いなのではないかと個人的には思う。
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